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用語  

 システム開発に従事する人々

 IT業界にはさまざまな職種の人々が活躍している。目的は1つなのだが、システムが高度化し業務が複雑化するにしたがって、役割分担が細分化されてきたので、いろいろとわかりにくいカタカナ職業が増えてきた。

 そこで、ここでまとめて整理しておく。ちなみに、ネットワークエンジニアとかデータベースエンジニアとかいう、○○エンジニアの類はすべて専門分野が違うだけでSEの一種なので、職種ではない。

 右の図で、「クリエイティブ」は、デザイン系の人々のことである。Webデザイナーや、GUIのデザインを担当する専門の人々が多く活躍しているが、システム開発の観点からは系列が異なるのでここでは省いてある。

 また、コンサルタントは、この手のピラミッドでは通常、SEの上にくるのだが、現実の流れでは傍流と考えるのが正しい。プロジェクト・チームの一員としてコンサルタントが参加するケースは少ないからだ。

 SE(システム・エンジニア)

 ソフトウェアの開発からそれを組み合わせて実際の仕事に使うためのアプリケーションの設計までを担当するIT業界の中心的役割を果たす職種。
 しかし、実体は、それぞれのSEの個人の能力で評価のされ方は千差万別である。SEほど、ひとくくりにできない業種も珍しいのである。
 要求されるのは、ITの専門知識のみならず、担当する分野の全く新しい知識を必要とすることもある。正に創造的な職業である。

 基本的な能力としては、プログラミングの能力、ネットワークの知識、サーバ運用の経験、セキュリティに関する鋭い感性である。
 しかし、それらを全部十分に身に着けているSEはそんなに多いわけではなく、ほとんどは、「聞きかじり」と「はったり」で不得意分野をゴマ化しているに過ぎない。
ひどい場合には、自分でプログラムを書いてシステムを構築した経験のないSEが存在したりする。

 おおむね、最優秀のSEは自分の会社を持ち、経営にもその能力を発揮している。

 プログラマ

 ソースコードを書き、バグがないことを繰り返し確認し、適切にアプリケーションが動くまでを管理する人を総称する。
 SEに比べ、プログラマはその下働きであるという間違った印象をもたれることが多いが、先端的なシステムの全ては、実はプログラマのから生み出されていく。
 プログラマが軽く見られるのは、大型計算機(メインフレーム)が産業界の主役だった〜1980頃にSEの書いた仕様書を正確にソースコードに書き直すという非創造的作業と担当していたからである。それ以来、SE>プログラマという既定概念が出来上がったのは悲劇というしかない。
 現代のプログラマは、ネットワークのセキュリティやサーバの運用、正しいプログラミングの知識など全部知らなければならないので、その日常生活は創造の連続となる。現在のプログラムとシステムの開発方法をみると、SEの業務である企画担当の立場からの「こんなシステムはできませんかねえ。」という問いかけに、「それは、これこれの理由で無理でしょう。でもこうしたらうまくいきますよ。」とプログラマが答えるよう
になっていくと思われる。正確に言えば、上に書いた大型計算機時代のプログラマは既に絶滅し、現在プログラマと呼ばれる人々は、本来の意味のSEであるといえる。

 アナリスト

 ITが適用される分野で、その情報と物の流れの問題を読み取り、 根本的な原因を抽出して、改善策を提案する重要な業種。 アナリストの提案を受けて、SEが具体的なシステム化を計画する。

 経済アナリストは、ITアナリストと同様に、現状を分析評価 し、問題点を摘出し、対策を示すが、その提案を現実に企業や行政 当局が採用したとしても、社会や人間などのファクタがあるため、 公開を測定することは難しく、大抵いい加減に処理されるが、ITの アナリストの分析は、企業などの日常業務の効率に直接反映するので 厳しい正確性を要求される。

 プログラマ、SEの実務経験がないITアナリストは、会社運用の経験 のない経済アナリストのように頼りなく、信頼性が不足している。

 コンサルタント

  コンサルタントは医師である。企業が困った状態にあることを訴えてきたときに診察し、検査し、診断を下す。その後、治療薬剤を処方し、回復を期すのである。

 コンサルタントは自らシステムを設計したり(SEの仕事)、作ったり(プログラマの仕事)することは稀であるが、アナリストとして、一般的なシステム評価を行うことがある。
 システム開発の実務を若い頃に十分経験し、第一線を引退したが意欲を失っていない人材が、コンサルタントとしての理想である。現実には、営業経験のある、セールストークのうまい人がなる傾向がある。

 しかし、くれぐれも間違えていけないのは、コンサルタントは医師であって、病気という問題を直すのは、患者自身の意思と体力である
ことである。もちろん、医師にも名医とヤブ医者がいることを忘れてはいけない。

 ITアーキテクト

 比較的新しい職種だが、重要な役割である。

システム開発は通常プロジェクトチームで行うが、現在の開発においては多くの技術を必要とする。 データベース設計、セキュリティ、ネットワーク設計、知的所有権、マーケティングおよび特定のパッケージ、フレームワークなどの専門的知識が必要となる。

 これらの特定分野に精通した人間がチームに配属され、プロジェクト管理者をサポートする(従来はプロジェクトマネージャがこれを兼務していた)ことが必要不可欠となってきたのだ。

 この新しいポジションをITアーキテクトと呼ぶ。彼ら(彼女ら)の役割は、高度な技術的判断を行ってプロジェクトを成功へ導くだけでなく、適切な雛型を作り大規模開発の質を均一にする、 個々のトラブルの相談に乗る、チーム全体の教育を行いレベルアップする、など多岐にわたる。人材が不足しており、一人でいくつもの専門分野をカバーするマルチアーキテクトが人気が高い。下記のスーパーエンジニアへの早道は、マルチアーキテクトを目指すことかもしれない。

 スーパーエンジニア

 上記の仕事すべてをこなせる人のこと。きわめて数がすくない。職種ではないが、あきらかにピラミッドのトップに立つのはスーパーエンジニアである。

20世紀後半には彼らが世界をリードし、最先端企業を興した。スーパーエンジニアの要件は、他の人々と異なる。「人を動かす」能力である。

詳しく知りたいと思ったら「スーパーエンジニアへの道」(ワインバーグ著)を読むとヒントが得られるだろう。

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